書籍「マスコミ対応はもう怖くない! メディアトレーニングのすべて」

書籍「マスコミ対応はもう怖くない! メディアトレーニングのすべて」

著者
メディアトレーニング講師
株式会社アクセスイースト代表
山 口 明 雄

この書籍は、メディアトレーニングを総合的に解説する日本語ゆいいつの書籍です。メディアトレーニング講師の山口明雄が、過去15年間に1,000名以上の企業トップ・役員・マネージャー・広報担当者などにメディアトレーニングを実施した際に要望があった「メディアトレーニングの教科書」として執筆しました。

上梓後、すでに3年間たっていますが、現在でも他にメディアトレーニングに関する書籍は出版されておらず、数多くの企業や組織にお勤めの方々に、マスコミ対応の座右の書、あるいはマスコミ対応の「赤本」として、ご活用いただいています。

以下は、この本の <はじめに> からです。

はじめに

メディアトレーニングはマスコミへの対応力を高めるトレーニングです。記者会見や個別インタビューを効果的に、失敗なくおこなうための話し方とテクニックの習得、訓練に重点をおいています。

日本では近年、危機管理プログラムの一部として、メディアトレーニングを実施する企業がふえました。不祥事や事件の報道対象になった時、メディア対応を誤ると企業存続を左右するほどの大きなダメージを受けることが広く認識されてきたからです。雪印乳業のケースを例にあげるまでもありません。

しかしながら、日本におけるメディアトレーニングの知名度は、米国に比べると、まだまだ高くありません。

先日、シアトルを訪問した時、書店のバーンズ&ノーブルでマーケティングの書棚をながめていたら、メディアトレーニングの本が8種類もおいてあることに気がつきました。「メディアトレーニングA〜Z」、「メディア出演を最高にこなす方法」、「ベストなメディアインタビュー」というような題名の本で、一冊はコトラーのマーケティング書の隣に堂々と並んでいました。

帰国後、米国アマゾンのウェブサイトに Media Training と入力したら、3,000以上の検索結果が表示されました。全部は見ていませんが、少なくともそのうちの200は、メディアトレーニングの様々な書籍やビデオ・DVDの紹介でした。日本のアマゾンで「メディアトレーニング」を検索しましたが、関係ある本は一冊もでてきませんでした。

この「人気」の落差は、どこにあるのでしょうか?

一つは、米国では、政治家、公務員、企業トップ、その他の著名人はもちろん、一般管理職などの普通の企業人もメディアに登場する機会が多いからだと思います。

CNN、ブルームバーグTVなどのニュース局またはビジネスニュース局が多くの視聴者をあつめています。三大ネットワークも、ニュースショー、ニュース追跡ドキュメンタリー、トークショーなど、著名人、社会人へのインタビューやテレビ出演がふくまれる番組を数多く制作し、放送しています。全米で発行されている日刊紙の数は、770紙を超えると聞きました。日本は120紙ほどですから、日々出稿される記事数は、日本と比べると桁違いに多いと思います。しかも米国の新聞記事にはインタビューから引用されるコメントが多く使われます。

もうひとつ、米国でメディアトレーニングが重要視されている理由は、企業のメディアに対する明快なスタンスにあると思います。「メディアは諸刃の剣である」との考えです。PR(パブリック・リレーションズ)という概念が生まれ、発展し、活用されている米国では、計画的、積極的なメディア対応は企業活動の一部です。しかし、メディア対応を誤ると逆効果を招く。メディア対応をする者は、トップ、役員、管理職、一般社員、広報担当者を問わず、必ずメディアトレーニングを受けなければならない。これが米国企業の考えです。

私がメディアトレーニングの洗礼を受けたのは、約30年前のことです。マクドネル・ダグラス日本支社広報宣伝マネージャーに採用された直後、米国で、英語で、有無を言わさず、受講させられました。その時メディアトレーニングがどういうものかまったく知らず、大恥をかきました。

その後、 1995年に世界大手の広報会社ヒル・アンド・ノウルトンの日本支社長に就任し、お客様からの要望が強かったメディアトレーニングを業務の柱のひとつに育てあげました。私自身も講師としての訓練を受けました。当時のお客様は大部分が外資系企業のトップや管理職で、「本社から受けろと言われて‥‥」が、圧倒的な受講理由でした。

それ以来、私の広報会社アクセスイーストや、他の広報会社、広告代理店などを通して、これまでに300回あまり、延べ1,000名以上の企業トップ、役員、マネージャー、広報担当の方々にメディアトレーニングをおこなってきております。

危機管理広報の大切さが認識されるようになって、大手のPR会社はどこも、メディアトレーニングをサービスの柱のひとつに打ちだしています。また、メディアトレーニングを提供しているコンサルタントは、たくさんいます。しかし、アマゾンの検索でも明らかなように、メディアトレーニングは現在でも日本で市民権を得ているとは言えません。

ただし、その日は近いと思います。テレビ放送の全面デジタル化にともない多チャンネルの方向はますます進むでしょう。インターネット、無線LAN、携帯電話、PCなどを通して、新しい形態のテレビ局、ラジオ局が次々と登場するでしょう。数年前には存在しなかったインターネットのオンラインパブリッシング専門誌も、業界によっては、すでにかなりの数にのぼります。
数多くの記事やビデオニュースが新しいメディアを通して配信されるようになれば、日本でも一般の企業人がメディアに登場する機会はふえ、メディアトレーニングの大切さが身近に感じられるようになると思います。

また、「戦略的広報」を重視する企業が、日本でもふえてきました。長期的なメディア対応プランを作り、積極的にメディアに働きかける広報活動が戦略的広報です。メディアトレーニングは戦略的広報にはなくてはならない要素です。

メディアトレーニングの知名度が高まると、人気は加速度的に高まると思います。なぜなら、メディアトレーニングは、メディア対応以外にも大きく役に立つからです。

メディアトレーニングは、日常の会話とは異なる話し方を訓練します。それは短時間で明瞭に話を相手に伝えるための話し方でもあります。上司への報告、営業会議での議論、お客様への商品説明など、さまざまな局面で、メディアトレーニングで学んだ話し方を使うと思いがけないほどうまくゆくのです。多くの読者を意識したメディアトレーニングの本やDVDが米国で売れている理由のひとつがここにあると思います。

実際、私は、たくさんの受講者から、マスコミ対応だけではなく、別なところでも大いに役に立っているというメールやお手紙、お電話をいただきました。

大手銀行の経営者のひとりで、マスコミに時々登場する方です。10年ほど前に私のメディアトレーニングを受講された時、外資系銀行の日本支社長でした。週1 度、本社との電話会議があり、日本の営業状態と金融市場の状況を説明し、本社経営陣の質問に答えるのですが、いつも「おまえの言うことは分からん」と言われて、たいへん憂鬱だったそうです。メディアトレーニングの後、「記者に説明するように話し、記者の質問に答えるように話してみよう」と、トレーニングで学んだ話し方で電話会議に臨んだところ、「よくわかる! 人が変わったみたいだ」と褒められたそうです。何度も感謝のお電話をいただきました。

「メディアトレーニング話法で話すと、経営会議でサポーターがどんどん集まります。これは宝物です」とのメールを別な方からいただいたこともあります。

本書をお読みいただければ、なぜ宝物なのか納得していただけると思います。

ただし、本書は音楽にたとえるなら楽譜の学習書、フィットネスにたとえるなら筋トレ教則本です。読むだけでは楽器は弾けません。シェープアップもできません。本書でメディアトレーニングをご理解いただき、その後、体で覚える実際のトレーニングを受けていただきたいと願っています。

メディアトレーニングの最初の日本語の本であるかもしれない本書が、みなさまのメディア対応やさまざまなビジネスの局面でお役に立てば幸いです。

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