(1) メディアトレーニングと話し方教室の違いは何でしょう?

メディアトレーニングが想定する話し相手は記者ではない

メディアインタビューで物理的に顔をつきあわせて話をする相手は記者です。私は、メディアインタビューにおいては、「記者は話し相手ではない」、「話し相手は読者・視聴者である」ことを論理的に説明することから始めます。なぜ読者・視聴者が話し相手かというと、彼らは記事や放送のインタビュー内容に反応を返してくるからです。読者・視聴者は、単なるメッセージの対象ではありません。記事やテレビニュースの中のメッセージを受けて反応し、その反応をさまざまな形で話し手に戻してくるのです。

余計な背景説明をしてはいけない

記者がストーリーを組み立ててから取材するのはあたりまえです。記者のストーリーと、あなたの考えが異なる場合、あなたは間違ったストーリーを正そうと多大な努力をすることになります。その過程で、余計な背景説明をしたり、一部だけを切りだしたら問題になりそうな発言をしてしまうことがよく起こるのです。

記者は、あなたと、話し相手である読者・視聴者の間のメディア(媒体)であると考えた方が、あなたの思う通りの記事が掲載される可能性は高くなります。

読者・視聴者には日常と異なる話し方が必要

話し方教室はいわば「現実時間・現実空間」での話し方訓練であるのに対して、メディアトレーニングは「編集時間・編集空間」で自分の思いをいかにうまく読者・視聴者に伝えるかの訓練です。

話し方教室は、話すための訓練をします。メディアトレーニングは、話をしないための訓練もします。記者の誘導質問に引っかからず、またみずから余計なことを話さないための訓練は、メディアトレーニングの重要なポイントです。

不祥事や問題を起こした企業が、失言や不必要なコメントを報道されることにより、イメージを徹底的に砕かれることはよく起こります。しかし、新製品発表の祝賀ムードの記者会見であっても、話し手の不必要な背景説明やコメントが、企業や製品、話し手のイメージを落としたり、企業の言いたいことを打ち消してしまったり、想像外の報道がされる原因になったりするのです。

次の回では、メディアトレーニングの神髄である、特別な話し方について詳しく説明します。

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